【美輪明宏「紫の履歴書」は多くの20代を励ました】本感想レビュー

紫の履歴書

美輪明宏さんの「紫の履歴書」を読み終えました。内容が濃くボリュームもあるので、読後はスッキリした気持ちと疲労感がありました。

あとがきに書いていますが、「励まされました」という手紙が多くの悩める若い人たちから届き、4度目の再版になったそうです。

美輪さんの人生が描かれており、人生に悩む20代の人に読んでほしい1冊です。

あと美輪さんのことをあまり知らない人も。私は美輪さんの過去を知らなかったので、驚きの連続でした。



《美輪明宏さんの「紫の履歴書」》

私がこの本を手にしたのは、ある本で紹介されていたのがきっかけです。想像以上にたくさんの刺激を受け、お気に入りの1冊として本棚に大切にしまってあります。

4度目の再販の時が1990年。今からもう、約30年前の本になります。細かく書くとキリがないので、5つに分けて概要を紹介します。ぜひ、いろんな人に読んでもらいたいです。



波乱万丈な人生のドキュメンタリー本として味わう

紫の履歴書
濃い人生がこの1冊に。


読んで知ったのは、美輪さんの波乱万丈な人生。

私の美輪さんに対する印象は「金髪のロングヘアー」「幸せになれる(?)待受」くらいでした。つまり「少し個性的な芸能人だなぁ」というイメージです。

美輪さんの曲「メケメケ」「ヨイトマケの唄」というヒット作の時代を知らないので、本当に「よく分からない人」のイメージの方が強かったです。



「紫の履歴書」を知るきっかけになった本で、美輪さん自身についても少し触れられていました。「原爆の被爆者」という過去苦労が多く色恋沙汰も多かった過去を経て今があることを知り、いつか読んでみたいと思っていたのでした。

この本には「美輪さんの幼少期からヒット曲を経てスターになるまで」と、「信仰に目覚める話」も出ています。現実は小説より奇なり、を体現している事件の数々。

現実のエッセイという説得力と、ストーリーとしても純粋に楽しむことができます。私は読んでいるうちに、美輪さんの素直な人柄もどんどん好きになっていきました。



被爆者だという過去から、戦争体験について語られている

美輪さんの出身は長崎県で、原爆投下時に近くにいた被爆者でした。当時の地獄絵図っぷりが描かれていて、嫌という程伝わります。

文字だけでこれだけ情景が頭に浮かぶのかと。美輪さんの表現力にも驚きました。

私は大人になってから仕事で広島や長崎の原爆にまつわるドームや資料館に行く機会があり、経験はないけど今後も経験しないために忘れてはいけない出来事だと思っています。

なのでこの本で当時の様子が描かれていて、真摯に受け止めようと読んでいきました。



幼少期の美輪さんは「日本人が日本人を殺したのだ」と指摘しています。

理由は、アメリカが原爆を作っている間に日本人は現地の学校で竹槍を作っていたから。負ける戦いに自ら挑み、多くの人が亡くなってしまったと。

無知や情報のないまま判断する愚かさ・恐ろしさは、私たちがニュースを見て何かを感じるときにも似ているかもしれません。



鮮やかな表現の幅を知れる

読み始めて最初に衝撃だったのは、その独特な表現。その幅広さです。

「色」を使った文章の表現が特徴的です。読んでいて、鮮明なイメージとして伝わってきます。最近は小説を読んでいなかったので少し驚きました。

現実がまるで、嘘の世界のように、または演劇の世界のように鮮やかに表現されています。

読み進めていくうちに、美輪さんが芸術の勉強をして絵を描いていたことを知って納得しました。

芸術的な表現に触れた時の、自分の意識していなかった箇所に触れた感覚というか、心に深みが出るような感情は「紫の履歴書」や文化的なものに触れないと味わえないな、と思います。



多くの人と素直に愛を持って関わる大切さ

スターになってからも弟の大学の入学金を支払うための「お金」事情やいろんな人との色恋沙汰(多分書ききれてないくらいある)も描かれています。有名になってからも身も心もボロボロになってしまう様子も。

自分自身が辛い時でも、美輪さんが誰かを「励ます」シーンが多く印象的でした。愛情のある人だなと。

一言で書ききれないのですが、自分に正直に生き、人のためにも言動が素敵な人柄だと本を通して感じました。

とてもモテるということもあり、いろんな人と関わられています。学生時代から恋人との別れ際が格好良かったです。

人の「嫉妬」「憎悪」についても描かれています。本当に感情の喜怒哀楽を存分に体感できる本だなと思います。



本の内容は、相手が特定されないよう「2人の話を1人」の人として描いたりもされているようです。

ともあれ本の中では長い年月の間に出会っている人たちと一気に出会うので、傷つくことがあっても人との関わりは良いものだと感じます。



恋愛観のオープンマインドさ

同性愛者を公言されている美輪さんですが、学生時代からのエピソードはとても美しいです。「同性愛なんですが・・」みたいな遠慮や前置きは無く、ごく当たり前に描かれています。

悩んでた云々の話は出てこない。そのくらい、おおらか。

何かメッセージがある訳ではないんですが、その自然な恋愛に対する姿勢に「こんな風に堂々として良いんだ!」と気づき救われる人もいるんじゃないでしょうか。



もともと遊学街で育っていたり、長崎という土地がいろんな国を祖先に持つ人も多くそれぞれの風習も混ざり合って、東京に比べるとオープンであったことも書いてあります。

むしろ東京の人たちのそれは窮屈に感じていたようでした。

今でこそ、LGBTが一般的な知識として広まりつつありますが、当時からここまでオープンにしている人も珍しかったのでは・・?

自分の「好き」に対して恐れず堂々としている様もとってもカッコよく映りますし、現に悩んでいる人からすると励みになると思いました。



【まとめ】本を読み終えて

「紫の履歴書」の紹介は以上です。

私は本を読み終わった後、「ヨイトマケの唄」を紅白で歌っている動画を見ました。

ヨイトマケとは、土木の仕事のことです。



本でも描かれている人がモチーフだそうです。当時、日本人のために日本語で歌う曲というものが無く、多くの人を感動させました。

最初は歌声の力強さに驚きましたが、歌詞の内容をちゃんと理解してから聴くと、多くの人が感動した理由もわかりました。



私が思ったのは「今苦しい環境にいる私」という状況は人生を先に歩んでいる人の多くが経験したことだし、もっと大変な目にあっている方もいらっしゃる。もちろん無理やり「だから頑張れ」というのは違うと思いますが。

他の人の経験談をもとに前向きな気持ちに切り替えたり、「苦労してもまた立ち直れる」と感じることができます。



冒頭にも書いた通り「多くの悩める若い人が励まされた」、というのはそういう部分からじゃないでしょうか。

「借金」「名声と富を得て」「原爆」「恋愛」「身近な人の死」など

きっとここに描くだけでは収まり切らない多くの出来事が、私たちを励ましてくれました。改めてオススメの一冊だと思います。ぜひ読んでみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!




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